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2009.03.31.更新
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■ 第16回 近づきたい、けど、傷つくのは怖い。☆ヤマアラシのジレンマ☆


春といえば、新たな出会いも多く、人間関係が広がる季節!
というわけで、今回のテーマは、人間関係をめぐるココロの葛藤のひとつを取り上げます。
その名も、「ヤマアラシのジレンマ」

知人から友人へ。場合によっては、恋人へ。
うまく付き合っていきたい。お互いが快適な関係でいたい。
そう願う私たちのココロの中で生まれるのが、このヤマアラシのジレンマです。
きっと誰もが体験したことのある感情のハズ。さぁ、分析開始です!

「近づくと痛くて、離れると寒い」のジレンマ。

ヤマアラシの一種、タテガミヤマアラシ(Yahoo!百科事典)
ヤマアラシの一種、タテガミヤマアラシ(Yahoo!百科事典)

 山アラシの一群が、冷たい冬のある日、お互いの体温で凍えることを防ぐために、ぴったりくっつきあった。だが、まもなくお互いに棘の痛いのが感じられて、また分かれた。温まる必要からまた寄り添うと、第2の禍が繰り返されるのだった。こうして彼らは2つの難儀のあいだに、あちらへ投げられこちらへ投げられしているうちに、遂に程々の距離を置くことを工夫したのであって、これで一番うまくやっていけるようになったのである(秋山訳,1973)。


 これは「ヤマアラシのジレンマ」という言葉のモトとなった、お話の一部。
 作者は、ショーペンハウアーというドイツの哲学者です。離れていると、寒い。だからといって、くっつきあうと、お互いの棘で相手を傷つけてしまう。「これは、人間関係におけるココロの葛藤そのものでは!」と、感じた心理学者のベラックが1974年に提唱した概念が「ヤマアラシのジレンマ」というわけです。

 ラックいわく、ヤマアラシのジレンマとは、居心地のよい親密さを求めるために生じるもので、「近づきたい、けど、離れたい」というジレンマだとのこと。ちなみに、この概念を日本に紹介した心理学者の小此木啓吾氏は、このジレンマは私たちみんなにとって「普遍的な課題」だと説明しています。

 確かに、今までの人間関係をちょっと振り返ってみると…「わかる~!」って感じ、しませんか?

敏感な、現代のヤマアラシたち。

 さて、そんな誰でもが一度は経験するだろう、ヤマアラシのジレンマなんですが。
提唱された1970年代から比べて、最近、ちょっとした変化があらわれてきているようなんです。ヤマアラシのジレンマに関して研究を進める藤井恭子氏の言葉を借りると、「より敏感なものになってきている」とか。

ん?「より敏感」ってどういうこと?
それでは、もともとのヤマアラシのジレンマを旧・ジレンマ、現代のヤマアラシのジレンマを新・ジレンマとして、藤井さんの分析をみていきましょう。


 もともと、旧・ジレンマは、深い関係を築こうと実際に関わりを持っていく中で生まれるものとされてました。そうまさに、冬のある日に、体を寄せ合っては相手の棘の存在を確認した、ヤマアラシたちのように。
 でも新・ジレンマは、もっと出現タイミングが早まり、深い関わりに入る前の段階ですでに生まれているのがポイント。棘の痛みや寒さをあらかじめ予期した上で、ちょうどいい距離を保とうして生じている、みたいなんです。これはたとえて言えば、ある一定の距離を保ったヤマアラシ2匹が、近づく前に「これ以上近づいたらお互いの棘が痛いかな」「離れすぎたら寒くなるかな」と頭の中で悩むあまり近づくに近づけない、離れるに離れられない、といった状況なワケ。

 つまり、ベラックが言った旧・ヤマアラシのジレンマが「近づきたい、けど、離れたい」というものだったのに対し、新・ヤマアラシのジレンマは、「近づきたい、けど、近づきすぎたくない。離れたい、けど、離れすぎたくない」というより複雑なものになってるってことです。

 うーん、ちょっとややこしいですね。でも、旧・ヤマアラシのジレンマと、新・ヤマアラシのジレンマには、根っこの部分におっきな違いがあるんです。
 旧・ヤマアラシのジレンマの場合、根っこにあったのは「居心地のいい親密さ」を求める思い。親密になりたいからこそ、あたたかさと棘の痛みの間で、ジレンマが生まれていたわけです。ところが、新・ヤマアラシのジレンマの根っこにあるのは、「傷つきたくない、傷つけたくない」という思い。親密になりたい!って思い以上に、それによって自分が傷つくのは、また自分が相手を傷つけるのはイヤ!って気持ちがとても強い。
 
 だから、棘の痛みを経験する前にすでにジレンマを感じてしまうわけなんです。

 言い換えると、現代の人間関係っていうのは、ある意味やさしく、ある意味臆病。
そしてとてもデリケートなものになってるってことかもしれませんね。

痛みをわかりあえる、ヤマアラシへ。

 話は変わりますが、この「ヤマアラシのジレンマ」。心理学の専門用語にしては「知ってる!」って人が多いようです。

 というのも、1990年代に社会現象を巻き起こしたアニメ、「新世紀エヴァンゲリオン」の中で使われたことで、けっこうメジャーな言葉になったよう。さっそくアニメをチェックしてみると、オトナになる前の微妙な心理を分析するコトバとして登場。主人公である少年(中学生)のココロの葛藤をよくあらわしているように感じました。


 実際、ヤマアラシのジレンマは、いわゆる青年期(中学生~大学生)と呼ばれる若いヒトたちの心理状態を表す言葉のひとつとしてよく使われてきました。

ところが!最近は、若いヒト特有の心理状態じゃなくなってきている、という一面も。
ネットなどが広がったことによる友人関係の変化、ひきこもりやニートの増加…。
ますます自分の棘や相手の棘に敏感な、「大人の」ヤマアラシたちが増えてきている!?


トとヒトとが関わっていく限り、きっと避けることができない「ヤマアラシのジレンマ」。
でも、お互いの痛みをわかりあってこそ、はじめて気付くあたたかさがきっとあるはず。
ちなみに、動物のヤマアラシは、仲間と一緒にいるときは本当は棘を寝かせているそう。
自分のもつ棘の寝かせ方を知っておくことも、とても大事なのかもしれませんね☆

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【NAME】後藤 未紀
ちょっと知りたい、相手の気持ち・自分の感情。日常のラブやライフに潜むいろいろな「ココロ」を分析します。当研究所に、ようこそ!
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