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2008.12.22.更新
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■ 「構想は3年、オープンまでは3ヶ月」--単身沖縄に渡った元広告代理店勤務女性の「勢い」。

アメリカ文化を吸収した沖縄

ヤッケブースのある都屋の海(読谷村)
ヤッケブースのある都屋の海(読谷村)

 沖縄戦以降27年間、沖縄はアメリカ統治下にあった。当然のことながら当時の通貨はドルで、現在40代のうちなぁんちゅ(沖縄人)は、「子どもの頃は1セントを握りしめて駄菓子屋に走っていったものだ」と当時を懐かしむ。在日米軍基地の78%が沖縄に集中していることは時折、新聞の政治面や社会面をにぎわす格好の材料となっているが、しかし普段は、むしろ米兵と地元住民は友好関係にあるといっていい。


沖縄は、その懐に異文化を抱えて生きてきた。ときにそれが薩摩であったり、ヤマト(日本)であったりするわけだが、同じようにアメリカの文化も大きく吸収して育ってきたのである。

10年ほど勤めていた広告代理店を辞め、パンケーキハウスをオープンさせる

広い海と空を背景に白亜の店が美しい
広い海と空を背景に白亜の店が美しい

 08年1月、閑静なアメリカ住宅の多い読谷村都屋に「ヤッケブース」という名のパンケーキハウスが生まれた。「ヤッケブース」の名はオランダで空前の大ヒットを記録した映画「ネコのミヌース」にちなむ。ビーチから30秒もしないところに位置するこの店を切り盛りしているのは藤本アキさんだ。やはり猫好きであるらしい。飄とした風貌でありながら目に力のある、一種独特な凛々しさを感じさせる。兵庫県出身で、10年ほど東京の広告代理店に勤務していた。その頃は写真や文章を手がけていたという。


「広告代理店に勤めながら、いずれはパンケーキのお店を持ちたいと思っていたんです。構想は3年くらい」


 私はバナナパンケーキをオーダーした。パンケーキといえば、アメリカでは主に朝食の食卓に供されるものとしてポピュラーな食べもの。ホットケーキよりも甘みが抑えられ、塩気と酸味を楽しむものとして知られている。待っている間、店の窓から見える海を眺める。ゆっくりと時間が音も立てずに流れていく。

オーダーしたバナナパンケーキ
オーダーしたバナナパンケーキ

 「構想は3年くらいなのですが、物件を探してからお店をオープンさせるまでは3ヶ月でした。勢いですね」

 と藤本さんは笑う。あまりにも急だった彼女の行動に多くの友人たちから、「貯金をみすみすドブに捨てるようなことをしなくてもいいじゃないか。3ヶ月でつぶれてしまうよ」と反対された。しかし、彼女の意志は固かった。

 藤本さんのパンケーキとの出会いは、彼女が20代の頃、写真を学ぶために渡ったアメリカでのことだ。その当時住んでいた部屋の前に、パンケーキハウスがあった。単身アメリカで過ごす彼女にその店のパンケーキの味は温かさや、活力を彼女に与えたに違いない。

単身沖縄に渡るが、協力者には恵まれた

午後の柔らかな日差しが時間の流れをゆるめてくれる
午後の柔らかな日差しが時間の流れをゆるめてくれる

 藤本さんが、物件探しのために沖縄に滞在していたときに利用していたのはゲストハウスだ。沖縄に誰一人として身寄りのなかった藤本さんだが、「お店を持つために沖縄に来たんです」というと、そこで知り合った多くの人がお店の建設のために助けてくれた。

「反対した友人たちが言うとおり、たしかに無謀といえば無謀だったかもしれません。もし、最初からずっと一人で、ということになっていれば厳しかったでしょう。しかし、本当に多くの人に手伝ってもらえました。店の内装など、こうして2ヶ月で完成させることができました」


 コラム第2回目で紹介した内原さんと同じく、藤本さんもまた「人の輪」によって可能性を広げていった一人だと言えるだろう。オープン1ヶ月で週末はアメリカ人のお客さんで店はいっぱいになる。それが口コミで広がっていき、2、30km離れたキャンプからもアメリカ人が藤本さんのパンケーキを求めに来た。「最初の頃はアメリカ人のお客さんが90%ほどでした」という彼女のその言葉を裏付けるように、メニューなどはすべて英語対応のものになっている。オープン2ヶ月目以降は沖縄内外の雑誌に取り上げられるようになり、地元のお客さんも多く利用するようになった。

コラムニストとしても活躍

パンケーキハウス店主にしてコラムニスト--マルチに活躍する藤本さん
パンケーキハウス店主にしてコラムニスト--マルチに活躍する藤本さん
 プチリタイヤ、という言葉がある。沖縄に渡ってくる人の多くはそんな生活に憧れているようだ。しかし、藤本さんの現在は、それまでの10年の発展上にある。お店の宣伝になればと始めたブログには多くのファンがつき、沖縄の2大新聞の一つである「琉球新報」では、連載コラムも担当している。「3ヶ月でつぶれる」と反対されたお店は、もう間もなく1周年を迎える。今では反対していた友人も、彼女のパンケーキを食べにきているそうだ。



パンケーキハウス ヤッケブース
〒904-0305
沖縄県読谷村字都屋436 №44
営業時間等はHPをご覧ください。
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