■ 南仏プロヴァンス・前編

今回は番外編です。9月に南仏プロヴァンスのエクサンプロヴァンスとリュベロン地方に行ってきましたので、2回にわたってご紹介します。

前編は、エクサンプロヴァンス、通称エクス。プロヴァンス地方の南の中心都市です。ちなみに北の中心はアヴィニョン。パリ・リヨン駅からTGVで約3時間で着きます。エクスは都会にしては珍しく、川や海がありません。その代わり、街には140以上の噴水があります。もともとローマ時代に泉が発見され、以来水の湧き出る場所として栄えました。

エクスは印象派の巨匠セザンヌが生涯住んでいた街としても知られています。彼の生家、アトリエ、通ったカフェ、描いた景色。。。などが街のあちこちに散らばっています。

特にセザンヌファンでなくとも訪れておきたいのが、街の北にあるアトリエと、その先にある彼が描いた景色として有名なサントヴィクトワール山が見られる展望台です。

アトリエは立方体の形をした小さな一軒家ですが、2階がメインの部屋。キャンバスや絵の具などの画材や、服、家具、書籍、手紙などがそのまま残されています。エクスの中心から離れたこのアトリエから眺める、緑が生い茂った美しい景色が、作品のインスピレーションとなったことは間違いありません。ちなみに1階はショップになっていて、ポスター、絵ハガキなどのグッズが買えます。

展望台は、アトリエから更に北へ登ること徒歩約10分ほどで着きます。天気の良い日は真正面にサントヴィクトワール山が見えます。セザンヌの描いたサントヴィクトワール山の作品も写真展示されているので、本物と見比べてみるのも面白いかもしれません。

さて、いよいよ中心街である市内へ。南仏の街の特徴であるピンクベージュの建物、迷路のように入り組んだ道、そしてたくさんの大小の噴水。それ以外に気づくのは、とにかくカフェが多いこと。大きな噴水の周りには常に4、5軒のカフェが囲んでいて、季節柄テラスになっています。

日差しが差し込むテラスで、皆気持ち良さそうにビールやワインを飲んでいる光景を目にすると、冬のエクスはどうなってしまうのかとちょっと心配になりました。エクス（というか南仏）に来るなら、断然夏！です。

街の中心では、毎朝朝市が開かれています。日によって規模が違いますが、火、木、土は青果からアンティーク、雑貨などのマルシェが同時に開かれ、かなりの規模になります。プロヴァンス名物のオリーブ、オリーブ油、マルセイユ石鹸、ラベンダー……などなど、お土産に買いたい名産品が安く手に入ります。眺めているだけでも楽しいので、早起きして一度は出かけてみたい。

ところで、エクスのお土産といえば、カリソンです。カリソンとは、アーモンドとオレンジの皮をつぶして作る甘いお菓子で、もともとはカトリックの教会で作られていたもの。味わいは、マカロンを濃厚にしたような感じです。マカロンが好きな人は好きな味だと思いますよ！

エクスの街でもう一つ絶対に行って欲しいスポットが、サン・ソヴァール大聖堂です。セザンヌの葬儀も行われた教会で、特に付属の回廊が素晴らしい。1時間毎にボランティアのガイドさんが30分ほど説明してくれます（英語か仏語）。お話には神話のキャラクターがよく出てくるので、旧約聖書やギリシャ神話を少しでも予習しておけば良かった。。。と後悔。

あらゆる生き物をモチーフにした柱の彫刻、中庭に植えられたオリーブの木や草花、そしてそこから差し込む光。ここが中世時代には僧侶たちの瞑想の場とされていたのも納得です。