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私を幸せにするライフスタイル BONITA message
2011.03.03.更新
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■ まっくろくろの焼き物

トナラの黒陶って、こういうものです
トナラの黒陶って、こういうものです
 グアダラハラのお隣トナラの、当然ですが看板も表札も無い小さなドアのその奥に、「こんなことやってたんだ!」と驚く小さな世界が広がっていました。

 黒陶(こくとう)というのは、低温で焼かれた素焼きの一種。塗料などは一切使用せず、ある特殊技法をほどこして真っ黒にしたもの。 
 高温で焼かれ、キーンと張りつめた音のする磁器とはことなり、土のぬくもり溢れる厚手の生地に、どっしりぽってりした出来が特徴です。黒陶自体は中国などが有名ですが、メキシコでもオアハカとこのトナラで少量ですが伝統工芸として作られています。

 いつもやさしく迎えてくれる作家のおじさん宅に、今日は作成風景を見せて頂きにやって来ました。

そこに粘土があるから焼き物を作る

一族伝来?の型がずらり
一族伝来?の型がずらり
工房のひんやりとした日陰で干します
工房のひんやりとした日陰で干します
場所を移して、絵柄を書くのは庭の明かりが入るここで。
場所を移して、絵柄を書くのは庭の明かりが入るここで。
 まず、焼き物に使うものですから、粘土の産地を聞いておきましょう。「ん?これ?そこらへんの土。」とのこと。メモメモ。

 どこの土、ということにはこだわらず、近所の山あたりから取れる粘土だそうです。
 こだわる理由も無い、そこに粘土があるから、焼き物を作る。 
 うん、いたってシンプル。

 それを、おじいさんの代から使っているという大きな石をほぼ(ほぼ、というのがポイント)平に割った台でぺったんぺったんとこねてまとめあげて行きます。

 適当な大きさを取り、これまた代々使われている型にはめ込んで行きます。壷などは、上下に分けた型に薄く伸ばした生地を貼付けて型取りしています。花瓶の口などは、立ってまわすスタイルのろくろで。

 これを、型から外してまずは日陰でそっと数時間乾かします。
 その後、このトナラ黒陶の特徴ともいえる模様を、カッターナイフの刃で描くように削って行きます。
 
 おじさんの描く模様はさまざまで、アステカ、マヤの象形を受け継いでいるような文様、ワニやジャングルの鳥をモチーフにしたものなど。

 模様ができたら、また干して。

家族そろっての作業が大事

マスクで顔が見えませんが、実直そうな好青年です
マスクで顔が見えませんが、実直そうな好青年です
自然の枯れ葉が燃え上がる時、黒く変って行くのです
自然の枯れ葉が燃え上がる時、黒く変って行くのです
煤を吸着して真っ黒になった陶器
煤を吸着して真っ黒になった陶器
 その後、自宅の裏庭にある窯で焼いて行きます。

 この窯、日本では横長、昇り窯などがありますが、ここは民芸品の村。
 レンガをぐるっと積み上げた「土管スタイル」。直径1.5m、高さ1.3m程度の小振りの窯が2つ。日本人の私から見ると「お!裏庭に五右衛門風呂!」(何歳だ、私?)という雰囲気。

 ここで数時間焼き、目検討(煙の上り具合と色、だそう)で「焼き上がりの時間」を計ります。以前はおじさんがやっていたこの「焼き当番」は、今は20代半ばの甥っ子(ものすごい好青年!)に引き継がれています。

 「焼けたよ!」の声で、おばさんがせっせと窯の近くの地面にどこからかかき集めて来た落ち葉を敷き詰めます。

 青年は窯から一つ一つ、焼けた陶器を引っ掻き棒でとりだし、なんとその落ち葉の上に。

 ここが、黒陶と言われる手法。

 熱い陶器の熱で枯れ葉は燃え上がり、地面の上で真っ赤な炎に包まれて行きます。
 葉っぱから出る天然の煤(炭素)が陶器の表面に付着し、化学変化が起こり、真っ黒になっていきます。

 炎に包まれている陶器を丁寧に向きをかえ、葉っぱを上から横から加えてまた焼く。「頃合い」をみて、それを炎から取り出し、冷まして行きます。

 不思議なのは、完全に冷めてから水でさっと洗っただけで、塗料も上薬もなしにこの艶になるということ。
 これが、自然の力と人間の工夫が生み出した「黒陶」の最大の魅力でもあるのです。

大量生産はしたくない

おどけた顔が和ませてくれるフクロウシリーズ
おどけた顔が和ませてくれるフクロウシリーズ
 おじさん一家は、とくに宣伝活動もせず、大量生産で儲けようともせずにこの家族全員で行う作業を何十年も続けています。

 大量生産で「売れる」ものを作ると、作るのが楽しくなくなるから、というのが理由。たしかに、粘土をこねるところから焼き上がって洗うところまで、おじさんは古びたラジオの音楽を楽しみながら、つねに柔らかな笑顔で作業し続けています。

 口数は決して多くないこのご家族ですが、いつ行っても温かくドアを開けてくれる。その人柄が、作品の温かさに現れています。
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【NAME】萬田 海晴
メキシコ生活、早くも2年半が経ち、気がつけば6足のわらじ。。。それでも、毎日楽しく過ごし、つねにGracias Mexico!と叫んでおります。
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