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私を幸せにするライフスタイル BONITA message
2008.12.01.更新
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■ 「癒しの島」幻想に踊らされてはいませんか?

生きづらい時代

書店には沖縄関連本が所狭しとおかれている
書店には沖縄関連本が所狭しとおかれている

元TBSの女性アナウンサーが練炭自殺で亡くなったことは私たちの記憶に新しい。本年6月に警視庁が発表した統計資料によると、平成10年以降自殺者の数は毎年3万人を上回っているそうだ。周囲を見渡すと心療内科へ通っている友人、知人が増えているようでもある。

 

私たちはたしかに「生きづらい時代」を生きている。そうした危機感は、さまざまな癒しグッズをもてはやし、「スピリチャル」といわれる、いわゆる内面の豊かさを求める風潮を生んだ。そしてそれと呼応するようにマスコミなどで脚光を浴びているのが「癒しの島としての沖縄」である。一部では精神疾患を沖縄で治そうという動きもあるようだが、果たしてそのような時代的要求に対し「ナマの沖縄」は応えうるのであろうか。いや、そもそも「沖縄」はそれに応える必要があるのだろうか。

 


年間20000人もの人が沖縄生活に見切りをつけている

 一説によれば、年間25000人もの人が沖縄に移住してくるとも言われている。しかし、そのうちの20000人が内地へ帰っていくという。私の実感として、おおよそ2年で帰っていく人が多い。「癒し」を求めて沖縄に渡ってきたは良いが、定職が見つからない、就職先が見つかっても、収入は内地の半額ほどに減ってしまうといった経済的な貧困さにまず馴染めなければ長期間沖縄に住むことは難しい。沖縄の所得の低さは全国ワースト1でもあるのだ。「きれいな海、空、やさしい人々」はたしかに魅力ではあるが、内地の金銭感覚を引きずっていては沖縄では生活できない。現実は意外と厳しいのである。

脱サラして天然酵母のお菓子屋さんを始めたE子さんの場合

沖縄県読谷村の夕焼け
沖縄県読谷村の夕焼け
  私の住む読谷村は沖縄の中部、西海岸側に位置するリゾート地として有名である。ホテル日航アリビラ、残波ロイヤルホテル、またリゾートウェディングを手がけるアクアグレースなどに加え、お菓子御殿、体験型観光施設であるむら咲むら、Gala青い海などを擁している。また、やちむん(陶芸)や、琉球ガラス工房、花織、紅型の工房が点在していることでもよく知られている。そんな土地に関西出身のE子さんが移住してきた。

「天然酵母のお菓子です。チラシを置かせて下さい」

関西でうつを患ったことをきっかけに心機一転、沖縄で商売を始めようと思ったんです、と彼女はそのとき虫歯で痛んだ前歯をのぞかせて笑顔で自己紹介をした。チラシを手に店を探すとサトウキビ畑に囲まれた土地に彼女の住居兼店舗があった。夕日の沈む時間になると店から赤く燃える海が見えた。静かな場所にはあったが、店の雰囲気を演出する絶好のロケーションともいえた。

 

「この店で色んなイベントなんかも出来たらいいだろうなって思うんです」

という彼女に、楽しそうですね、応援しています。と私は答えたが、ああ、彼女も「沖縄病」に罹っているのかな、という一抹の不安はあった。「沖縄」という土地の素晴らしさに浮き足立ってしまい、雲を掴むような話題が多かったのだ。しかして、結果はすぐに現れた。日に日に彼女の表情が暗くなっていった。口を開けば、「もうだめです」としか言わないようになる。まだ立ち上げて1ヶ月もしないうちに、である。

「商売は軌道に乗るまでは大変です。経済的には厳しいでしょうが、最初のうちの辛抱ですよ。ぼくも友人たちに紹介して応援していますから」

 そう励ますが結局3ヶ月後には誰に挨拶することもなく沖縄を出て行ってしまわれた。皮肉なことにその頃私のもとに東京のテレビ局から電話があった。

「内地からの移住者で、海の見えるような土地にご自身で商売をされている女性をご存知でしたら紹介していただきたいのですが」。

 すぐにE子さんに連絡をつけようとするが、先にも書いたようにすでに沖縄を引き払った後で、連絡もつけられなかった。あとちょっとの辛抱があれば、もしかしたらメディアの力を借りて商売を軌道に乗せることができたかもしれない、と思うと可哀想でならなかった。

 


彼女のうつの程度は沖縄でより悪化したのではないかと思う。しかし、それは冷たいようだが「沖縄のせい」ではない。沖縄の環境に覆い被さってしまった彼の姿勢にこそ問題があったといえるだろう。等身大の沖縄を正確に捉えることができなければ、いい意味での「ゆるゆるな生活」を送ることはできない。彼女はいまどこで何をしているのだろうか。

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【NAME】佐々木仁孝
沖縄は「癒しの島」とマスコミなどに謳われて久しいですが、実際の沖縄生活はどうなのか。移住者(ときに沖縄県民)を取材し、その実態をご紹介します。
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