職場での人間関係に頭を悩ませる人は多いもの。 専業主婦の方でも、家に帰ってきたダンナさまが 「今度来た上司がさぁ…」「最近の新人は…」などとこぼしてるのを耳にしたことがあるのでは? 上司には上司の、部下には部下の悩みがあるのはわかるけど、 より苦労が多いのは、ぶっちゃけどっち? 上下関係のエレジー(悲哀)を、心理学観点から分析します! |
ネズミに見る、上司vs部下の関係。
職場での上下関係をめぐるストレスを調べるために、上智大学ではこんな実験が。
2匹のネズミのしっぽを電線でつなぎ、200秒ごとに電気ショックを与える仕掛けを作ります。ネズミの前には、電気ショックを回避できるスイッチがあるのですが、そのスイッチを押すことができるのは2匹のうち1匹だけ。 つまり、スイッチの権限を与えられた片方のネズミは2匹の責任を担う「管理職」、 もう一方のネズミは、それに従うしかない「ヒラ」に割りふられるわけです。 この実験を24時間続け、それぞれのネズミの胃かいようの大きさを測定。 さて、管理職ネズミとヒラネズミ、どちらの胃かいようが大きくなっていたと思いますか? 答えは、管理職ネズミ<ヒラネズミ。 ヒラネズミの胃かいようの大きさは、管理職ネズミの2倍以上に! 電気ショックの恐怖に加えて、それを自分の手ではどうすることもできないストレスが ヒラネズミの身体に悪影響を及ぼしていたんですね。 つまり、上司より部下のほうが苦労が多い!と言いたいところですが、 急ぐなかれ、この実験にはまだ続きが。 管理職ネズミが1回押せば電気ショックが止まるようになっていたスイッチを、 今度は5回押さないと回避できないように変更します。 要するに、管理職の仕事の難易度をあげたわけです。 そして同じように24時間後、それぞれの胃かいようの大きさを調べてみると…。 今度は、管理職ネズミ>ヒラネズミ に! 管理職のストレスが、ヒラのストレスを上回ってしまったんです。 ここまでの実験を、人間に置き換えてまとめると、こういう結論に。 上司が、自分の手で解決可能な仕事・問題にむかって動いているときは、 その下で働く部下のほうがストレスを感じやすい。 しかし、上司の仕事の難易度があがり事態が厳しくなってくると、 責任を負う管理職自身のほうがより多大なストレスを抱えるようになる。 |
板挟みに要注意!
この実験に興味深い“続き”を付け加えたのが、アメリカのミラー氏ら。
管理職ネズミのみがスイッチによって電気ショックを回避でき、ヒラネズミはそれに従う。ここまでは、先ほどの実験と同じですね。 ミラー氏らは、さらにそこに、スイッチを押すと管理職ネズミだけに弱く短いショックがくるような仕掛けを追加。 要するに、管理職ネズミは、自分とヒラの両方にくる強い電気ショックを避けるためにはスイッチを押さなければならない、けど、押すと自分だけに弱いショックがくる、という葛藤状態におかれたわけです。 実験終了後、それぞれの胃かいようの大きさをはかってみると…。 管理職ネズミ>ヒラネズミ 管理職ネズミの胃かいようの大きさは、ヒラネズミの2倍以上になっていました。 さて、この部下の面倒も見なければならず、上からの痛みも負わなければいけないという立場、 人間社会の職場にも見られると思いませんか? そう、“中間管理職”と言われる立場の方々。板挟みって何かと苦労が多いんですね…。 中間管理職は、その名前のとおり、上司と部下の両方のストレスを抱えやすい立場。 特に、中間管理職になりたててまだ実力が追いついていなかったり、 自分の手に余る仕事をまかされたとき、その重圧が心身の症状にあらわれることが多い。 |
仕事の難易度やそのときの事態によって変わる、上司と部下の大変さ。 板挟みの苦悩を味わう、中間管理職。 働いたことがある人なら納得できる、エレジーですよね。 そう考えると、いつもはちょっとめんどくさいダンナさまのグチにも、 今夜はやさしく付き合ってあげられるかも…!? ちなみに胃かいようは心的ストレスだけではなく、 不摂生などが原因となる場合も多いので、くれぐれもご注意を。 |