学生時代、暗記が苦手なために勉強や試験がイヤだった、という方、 けっこう多いんじゃないでしょうか。 かくいう私も、社会科の歴史なんかは、話はおもしろいんだけど、 人名や年号が覚えられない…と苦しんだ記憶が。 社会人になってからは、学生時代ほどじゃないものの、 何かを暗記をしなきゃいけない機会ってふとしたときに出てきたりするもの。 キャリアアップのために何かの資格や検定を受けることもあるだろうし、 なにかの機会にスピーチをしなきゃいけないってこともありますよね。 今回は、そんなときに役立つ、“暗記術”のお話です! |
徹夜で暗記、これってどう!?
学生時代、テスト前夜に徹夜で勉強…、多くの人が経験したことがあるのでは?
でもこの“一夜漬け”、けっこう体力的にも精神的にもキツいですよね。 そのキツさに見合っただけの効果をうんでくれるものなんでしょうか? この疑問に関しては、アメリカの心理学者、ダレンバック氏とジェンキンズ氏の有名な実験が。 この実験では、2人の学生に、眠る前に10個の無意味綴りを覚えてもらいます。 無意味綴りとは、BUC、DIR、NOJのように、単語としての意味をもたない文字のかたまりのこと。 間違いなく暗唱できるようになるまで繰り返し覚えてもらったあと、2人は眠りの中へ。 そして、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後に学生を起こし、 10個の無意味つづりをどれだけ覚えているのかをテストします。 (ここまでのテストを「睡眠ありバージョン」とします。) また、この同じテストを、別の日の昼間にも実施。 (これを「睡眠なしバージョン」とします。) 睡眠あり、睡眠なし、それぞれのバージョンの結果を比較すると…。 睡眠ありバージョンは、2時間後にはほぼ半分を忘れてしまっていました。 でも、その後はほとんど忘れず、8時間後も約半分の記憶は保存されたままに。 一方、睡眠なしバージョンは、記憶は時間とともに減少し続け、 8時間後には約9割が忘却のかなたに。 なぜこういうことが起こるかというと、起きている間というのは どんなに静かな部屋にいても、何かしら目や耳に入ってきますよね。 そういった外部からの刺激(=“干渉”と呼びます)が、 せっかく覚えたものを忘れてさせてしまうワケです。 ダラダラと新しい知識を詰め込んでも、それが干渉となって、 先に入れた記憶が薄れていってしまうことも。 しかも、徹夜で睡眠不足になると、集中力の低下という嫌なオマケまで…。 そう考えると、暗記は、時間を決めて集中してやったあと、 適度に睡眠をとって記憶を干渉から守ってやるほうが、はるかに効率的! |
睡眠学習って、効果あるの?
睡眠つながりで、続いては“睡眠学習”のお話を。
眠っている間に覚えられるなんて、まさに夢のような話ですよね。 それに関して、心理学者のエリオット氏によるこんな実験が。 エリオット氏は、被験者を睡眠学習ありグループと睡眠学習なしグループに分割。 睡眠学習ありグループには、眠っていることを脳波でしっかりチェックした上で、 boy、egg、sayなど15個の簡単な英単語を聞かせておきます。 そして翌日、両方のグループに対して、それら15個の英単語を記憶するテストを実施。 すると、睡眠学習ありグループのほうが、なしグループよりも、 83%も早く単語を覚えることができた、という結果が! 日本における睡眠による心理療法の権威・原野広太郎氏によると、 寝入りばなや目覚め前のうとうと状態=“半睡眠状態”のときに受ける音声刺激は、 直接潜在意識に働きかけるため、一種の暗示効果をうみ、記憶に定着しやすくなるとのこと。 これは、試してみる価値アリかも。 |
今日から役立つ、暗記テクニック。
では、最後に、今まさに何かを暗記しなきゃいけない事態にある、という方に送る、
今日から役立つ、暗記テクニックを! 暗記にはなんといっても反復が大事なのは、自明の理。 でも、どうせ反復するなら、効率よくやってさっさと覚えたいもの。 ドイツの心理学者エビングハウス氏によると、ヒトの記憶には「忘れられにくい部分」と 「忘れられやすい部分」があるんですが、記憶の3分の2は「忘れられやすい部分」だそう。 そしてその記憶は、後から反復しないと9時間以内に忘れてしまうとのこと。 忘れてしまったものをもう一度覚えなおすよりは、あいまいでもまだ形をとどえめているうちに 記憶を補強するほうが、効率的なのは当然ですよね。 つまり、復習は9時間以内にやるのが絶対オススメ!遅くても、その日のうちにはやってしまいたいところ。 さらに裏技としては、記憶力を高めてくれる音楽を聴いてみる、なんていう方法も。 音楽療法の分野で言われている、記憶力アップに効果的な曲は以下の通り。 ぜひ試してみてくださいね! ヴィヴァルディ フルート・ソナタ(忠実な羊飼)/ラヴェル ボレロ/ ヘンデル 調子のよい鍛冶屋/バッハ バッサカリア・ハ短調/ ベートーベン ロマンス・ト長調/ベートーベン エリーゼのために/ クライスラー 美しきロスマリン |
歴史の年号や、数学の公式…。 学生時代、試験に必要だからといやいや覚えたものは、今はまったく記憶ナシ。 一方、好きで覚えたアーティストの曲はいまだにスラスラ歌えたりするから、記憶って不思議。 ふいに訪れる何かを覚えなきゃいけない場面で、今回の内容がお役に立ちますように。 |